かんたん要約
- 星野リゾートの星野佳路代表が、円高が観光業にマイナスの影響を与える可能性を指摘。
- 円安が続いたことで訪日客が増加していたが、今後の円高で減少する懸念がある。
- 持続可能な観光市場には、為替に頼らない「リピーター」の獲得が重要。
- 価格を適正化し、訪日客だけでなく日本人にも楽しんでもらう観光サービスが求められる。
かんたん解説
日本を訪れる外国人観光客、いわゆる「インバウンド」の数は、長らく円安の追い風を受けて急増していました。2023年8月には、過去最高の約293万人が日本を訪れるなど、新型コロナの影響が和らいでから観光業は再び活気を取り戻しているかのように見えます。
しかし、観光業の星野リゾート代表である星野佳路さんは、為替相場の変動に依存する訪日客の増加には課題があると述べています。現在、円高の傾向が見られ、これによって訪日客の勢いが鈍化する可能性があると危機感を示しました。円安は外国人にとって日本の旅行が割安になり魅力的ですが、反対に円高になるとその魅力は減少し、訪日客数が減る可能性が高まります。
星野さんは、為替の影響に左右されない観光市場を作るために重要なこととして、リピーターを増やすことを挙げています。初めて日本を訪れる人だけでなく、何度も訪れる観光客に向けて特別なサービスを提供することで、持続可能な観光ビジネスが可能になります。たとえば、スイスのツェルマットでは20年間に20回訪れた観光客を「ロイヤルゲスト」として特別にもてなすなど、リピーター向けの特別なサービスが実施されています。
また、訪日客と日本人観光客で異なるサービス価格を設定する「二重価格」が、観光地の混雑(オーバーツーリズム)対策として注目されています。これについて星野さんは、訪日客だけの料金を高くするのではなく、全体的な価格を調整することで需要をバランスよく抑えるべきと指摘しています。観光客が日本の「おもてなし」に悪い印象を抱かないように、価格設定やサービスの工夫が必要であるという考えです。
これらの取り組みを通じて、観光業は円高などの経済的な変動に左右されない持続的な市場を作り出すことが求められています。特に、来年4月に開幕する2025年大阪・関西万博は、インバウンド客が地方にまで足を伸ばし、日本全体の魅力を感じてもらう良い機会として期待されています。
かんたん用語解説
- インバウンド(訪日客): 日本を訪れる外国人観光客のこと。近年、日本の観光業ではインバウンドの増加が経済効果をもたらしており、その数や消費額が注目されている。
- 円安・円高: 日本円の価値が他国の通貨に対して下がると「円安」、上がると「円高」と呼ばれる。円安の時は外国から日本の商品や旅行が割安に感じられるため、観光客が増える傾向がある。
- リピーター: 何度も同じ場所を訪れる観光客のこと。初めての訪問ではなく、再訪問してくれることで観光地の持続的な発展に貢献する大切な存在とされる。
- オーバーツーリズム(観光公害): 観光地に過剰な数の観光客が訪れ、地元住民の生活環境や観光地の環境が悪化する現象。混雑やマナー問題が発生し、地元と観光客の双方に悪影響を及ぼす。
私たちの日常生活への影響
円安や円高の影響で外国人観光客の数が増減すると、日本国内の観光地の雰囲気や価格に変化が出る可能性があります。円安の時は訪日客が増え、観光地が混雑したり価格が上がったりすることもありますが、円高になると逆に観光地が空いてくるかもしれません。観光地での過ごし方やレジャーの選択肢が増える一方で、地元の方々との共存も大切です。
投資への影響
観光業は為替の影響を大きく受けます。円安が続くと観光関連企業の業績が上がる可能性が高くなりますが、円高になると逆に観光客が減り業績にマイナスの影響が出ることもあります。投資家にとっては、為替の動向や訪日客数の推移を見ながら観光業関連企業の株価や業績を注視する必要があります。また、リピーター戦略がうまくいけば、安定した収益を見込める企業に投資するチャンスともなります。